障害者スポーツの初歩的な指導方法ハンドブック  (スポーツ庁)

スポーツ庁長官として、このたび重要なハンドブックを作成することができたことを大変光栄に思います。この手引きは、日本を代表する指導者の皆さまと議論を重ねた結果生まれました。多くの関係者の方々のご協力に心から感謝申し上げます。スポーツを愛する一人として、このハンドブックの発刊は私にとっても念願であり、この成果を大変嬉しく感じております。

当初、障害を持つ方々のためのスポーツ指導者が不足しているとの声を受け、より多くの指導者を育成し、誰もがスポーツに親しめる環境づくりが求められていることを痛感しました。しかし、私はさらに一歩進めて、障害の有無に関わらず、誰でも指導できる人材を増やす必要があると考えています。特定の専門性に固執するだけでは、指導者としても人としても大きく成長することは難しいでしょう。コーチは自らの専門性を超え、幅広い対象への理解を深め、指導の範囲を広げることで真の成熟へと繋がるのです。コーチングにおいて重要なのは、一方的な指導ではなく、相互のコミュニケーションを通じて信頼関係を築くことです。対象者の年齢、運動レベル、背景を理解し、それに合わせた指導を行うことが求められます。今回のハンドブックは、障害のある方々への指導方法に焦点を当て、さまざまな学びを得られる内容となっています。障害と言うと、脊髄損傷、視覚や聴覚障害をイメージされる方が多いですが、知的・発達障害や精神障害を持つ方々も社会には多くいらっしゃいます。本ハンドブックには、知的・発達障害を持つ子どもやADHDの子どもに対する指導ポイントなども記載されており、体育教師や指導者の皆さまに幅広く活用いただける内容です。本ハンドブックでは、脊髄損傷、視覚・聴覚障害、内部障害、知的・発達障害、精神障害など、それぞれの障害の特徴や指導時の留意点、さらには指導のポイントを詳しく解説しています。運動経験の有無に関わらず、指導対象者の特性を理解し、相互的なコミュニケーションを図ることで、指導される側は困難な道のりであってもスポーツの喜びを感じることができるでしょう。また、コーチとしても、人間としても成熟し、新たな可能性が広がることを期待しています。

このハンドブックは、今後もさらなる充実とアップデートを図って参りますので、皆さまからのご感想やご意見をお待ちしております(スポーツ庁 健康スポーツ課 障害者スポーツ室)。

こちらがハンドブックです: https://www.mext.go.jp/sports/content/20240718-spt_kensport01-000036958_05.pdf

ご協力いただいた先生方

リハビリテーション医学:相澤純也 (順天堂大学)、緒方徹 (東京大学医学部附属病院)、上出杏里 (国立成育医療研究センター)

リハビリテーション科学:中澤公孝 (東京大学)

指導者育成:栗原洋和 (JSPO)、三神真二 (JPSA)

障害者スポーツ:高山浩久 (東京都障害者総合スポーツセンター)、鳥居昭久 (東京保健医療専門職大学)

発達障害:澤江幸則 (筑波大学)

聴覚障害:中島幸則 (筑波大学)

視覚障害:細川健一郎 (国立障害者リハビリテーションセンター)

知的障害:太田澄人 (長野県障がい者福祉センター)

オブザーバー:大西瞳 (陸上)、手塚圭太 (陸上)、木村敬一 (水泳)、豊島英 (車いすバスケットボール)

  • 関連記事
  • おすすめ記事

カテゴリー

PAGE TOP